曖昧

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家からどのくらい歩いて来ただろう。 誰にも何も言わずに出て来たのだけれど、母さん辺りは何か気付いてたかもしれない。 昨晩からこの高揚感を隠しきれずにいたから。 大分前から旅に出たいと思っていて、数日前についに決断した。 今日出発するって。 何故今日かと言えば、理由などない。 思い付いたが吉日ってやつだ。 でももうちょっと違う服を着てきたかった。 バレたらきっと危ないって止められるから、バレないようにいつもと変わらない服を着て来たのだが。 全身真っ白、は、やっぱりおかしい気がする。 着ているもの全て真っ白、装飾品だって白だ。 ついでに水も食料も着替えも武器も何も持って来ていない。 こんなんで大丈夫か?と、まあちょっと心配ではあるが、まあどうにかなるだろう。 どうにかする。うん。 で、とりあえず北に向かっているのだが。 「ここまで何もないと、いっそ清々しいな」 川も木も花もない。 草と石だけが溢れる広野。 最初は旅に出た高揚感で楽しく歩いていたのだが、さすがに飽きる。 「……走るか!」 思い立ったら即実行。 俺は全力で走り出した。  
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