第1話 働き者は損をする

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こうして俺は勇者なりきりセットとリュックサックひとつで冒険の旅へと出ることになった。 「まずは北の街イマンジェを目指すのよ!そこの登録所で勇者ってかくの、交通安全協会は入りませんっていうのよ?」 かぁちゃんの言葉を背に受け、俺はニートから晴れて勇者になるためイマンジェの街を目指す。 「あら!あの子、家から出てるわ……。」 「引きこもりだったのにねぇ。」 「追い出されたんじゃない?」 「おおキモいキモい」 近所のオバサン方の言葉が胸に染みる。最後のクソババァ、おまえは許さない。 とはいえ、このピチピチの子供服はどうにかしたいもんだ。 頭のおかしい変質者に見られてしまう。 「頭のおかしい変質者が歩いてると通報があったんだが君のことだね?」 やっべ!いきなりお巡りさんだよッッ! ていうか通報したのさっきのクソババァだろ、ちくしょう。ここはちゃんとお巡りさんに事情を説明しなければ……。 「……熟女のババァ…………デュフフ!」 「た、逮捕だぁぁーーー!!!」 しまった!ニートすぎて上手く喋れない!
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