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息をする暇も与えない連撃、空気を裂く音、時には砂塵をあげながらの攻撃、但し全ての攻撃を仕掛けているのは羅刹であり羅生門であった。
2対1という不利な体勢の中、結城は防戦一方になっていたが、この二人を相手に傷一つ無く善戦しているのも事実だった。
「何故倒れぬ!」
「何故我等の攻撃が当たらぬ!」
結城は防戦一方になりながらも周りの状況にまで気を配る。
(皆は無事か?
こいつ等を足止めしてりゃあ何とかなるか)
「よそ見をする余裕があるとは思えんがな」
一瞬の隙をつかれ斬撃を受けるが何とか皮一枚で避けるが次の攻撃が迫っていた。
「くそがぁ!
光の波動よ此処にあれ…
光の砂塵よ来い!」
呪文と同時に結城の周りに光の粒子が集まり出す。光の粒子は砂塵の如く地面を這い敵の行軍を止める。
「ぬぅ、またこれじゃ。
怪しい術で我等を足止めしおって、あれを何とかせぬと…」
「そんな事考えてる余裕あるのか?」
虚を付かれた羅生門に結城の剣が迫る。剣を持つ手に力を込め一陣の風の如く間合いを詰めた。
「唸れレーヴァ、くらえ光輝剣!」
防御は敵わないと覚悟を決めた羅生門は即座に突っ込む。
「負けん!
我等は負けんぞ!!」
結城の呼び掛けにレーヴァテインが応え刃先が光の輝きを増し羅生門の顔面に直撃。
羅生門は何とか両断される事なく躱したが片目を失う。だが、その直後視界の狭くなった身体を無理矢理よじり結城に抱き付く。
不意を付かれたとはいえ簡単に身体の自由を奪われてしまい結城は自責の念に囚われる。
片や仲間の突然の行動に対し躊躇し初動の遅れを悔やむ羅刹がいた。
「今じゃあ羅刹!
儂と一緒に斬れ!!」
「それでは貴様が…
いやすまぬ、貴様の覚悟無駄にはせん、結城よ終わりじゃ!」
覇気を纏った剣が二人に襲い掛かり一刀両断。
しかし結城は斬りつけられる直前、背中を斬られはしたが身をよじり致命傷だけは避けていた。
「何故じゃ?
何故動ける!?」
思いもよらない結果に怒りを露わにする羅刹。斬られた痛みよりも次の攻撃に備える結城。
「一瞬躊躇したろ?
それに仲間を庇うあまり斬る時に目を瞑ったな。
それがなけりゃ危なかった」
仲間の身を挺した行動に、一瞬の迷いが戦況を左右した。羅刹は自分の取った行動に怒りさえ覚えた。
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