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「ユーリ殿!それ以上は!!」
父の勇姿を一目見ようと結界の限界ギリギリまで進むユーリ、それを止め様と助爺はユージを抱え後を追っていた。
「大丈夫!
きっと父さんがあいつ等を倒してるさ!」
義理堅い助爺は結城の願いを守ろうと必死になっていた。
「奴等のせいでリーサ様も忙しいこの時にあのくそ餓鬼ゃあ、これで何かあれば結城殿に合わす顔がないぞい」
意外と助爺は言葉が汚かった。
一方その頃、結城は危険な状態にあった。羅生門の助言通り、詠唱する時間を与えない攻撃に手間取り思い通りに闘えなかった。
「ちとやべぇな、
意識が朦朧としてきやがった、せめて回復だけでも……」
「結城よ、貴様の考えは分かっておる。
唱える時間なぞ与えんわ!」
意識が朦朧としている状況の中善戦出来ているのは、今までの闘いでの経験値である。時の国王が天才といわしめた逸材が、攻撃を受けながらにしても次の一手を巡らせていた。
「この状況はあれだな、
最後の大技が来た時が勝負か……」
結城の意識が朦朧としているのを見るや否や羅刹の攻撃は更に激化。剣を持つ手に力が入らない結城は器用に致命傷は受けないが、面白い様に斬られていく。剣を弾かれた所に重い拳が入る。
「…クッ、したい放題やりあがって…
刻の衣の効果があってもこれかよ…」
ただフラフラと剣を持っているだけの身体に容赦なく責めいる。右に左に面白い様に転がされ、ついには剣を地面に突き刺し倒れ込んでしまった。
「結城よ、これで最後じゃ。
心置きなく眠れ」
これで最後と言わんばかりに切っ先を向け勢いよく走り出した。
「この時を、待ってたよ……」
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