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勝利を確信した攻撃、最早羅刹の目にはこれ以上の反撃は無いと笑みさえ浮かべていた。
だがその最後の攻撃を待っていた男の目は死んでおらず、この一瞬に賭ける。
「まだ殺しはせぬ!
ただその身を差し出せ!」
羅刹は勝利を確信。大剣をこれ以上ない力で振りかぶるが、そこに隙が生まれる。
「……慢心したな羅刹!
……行くぞレーヴァ!
我に力を!」
結城は叫ぶ。地面に突き刺した一本の剣は声に反応し光る。やがて分裂した二つの光に変化。羅刹の攻撃が当たる刹那、片手で剣を弾き、もう一方の剣が肩を貫く。
「ば、馬鹿な…
剣が変化するなど…」
「すまねぇな、
面白れぇだろ?
奥の手は最後まで隠すもんさ」
結城は癒やしの光りで自らの傷を治癒する。
「また我は負けるのか……」
形勢が逆転しうなだれる者、二人の大将が倒され狼狽する者、これによりこの闘いが幕引きされようとしていた。
「我の慢心が敗因か…
斬れ、我を斬れ。
だが羅生門だけは……」
敗北を悟った羅刹は自らの命と引き換えに、友を救おうと懇願する。
「ん~な事する訳ねぇだろ?
斬った斬られたはもういいだろ?大人しく撤退してくれ」
うなだれる羅刹は結城の意外な言葉に顔を上げる。刹那、羅刹の視界の端にあるものが目に入った。
「あ、あれは?」
視線が自分に向けられていないと判断すると同じ方向に視線を向ける。
その先に見えるは……
「ユ、ユーリ!?
それに助爺まで!
何故結界の外に!?」
言葉を発したと同時に妖しい一陣の風が吹き荒れ漆黒の闇が現れる。
「……ミツケタ……」
「何!?」
耳をつんざく声が響き渡り嬉々として叫び声をあげる。
「見つけたぞ、そちの弱味。
我が呪い味わえ!!」
突如現れた静御前の指先がユーリ達に向けられるとその先に波動が迸る。
動揺と戸惑いが交錯しそれを防ぐ思考を遮る。その波動は結城の眼前をゆっくりと、そして確実に速度を早め通過した。
刹那、ユーリの叫び声が暗闇に響き渡る。
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