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耳をつんざく叫び声が響き渡り、それを聞いた者は耳を塞ぎたくなる様な断末魔。そばに居た助爺は何が起こったのか分からずただ狼狽える。
頭が混乱する。
今、敵を討ち取りこれで終わる筈だったのが聞こえるのは我が息子の叫び声。
何故こうなった?
何があった?
何処で間違ったのか?
自問自答の末に答えは出ない
胸に去来するは怒りと哀しみ…
彼は未だかつてこれほどの憎しみに取り憑かれたことは無かった。どんな悪人でも心の何処かで赦す事が出来ると思っていた。
怒りを押し殺し震えた声で呟く。
「……貴様、
何をした……」
したり顔の静御前はこの上ない優越感に浸りながら妖艶な笑みを浮かべる。
「我等の怒りが呪いとなってそちの息子に取り憑いたまでよ。
これで少しは気も紛れようぞ」
ざわざわと嫌な感情が支配する。頭では冷静さを保とうとするが、心の中では怒りが支配していた。
「貴様は…
貴様だけは赦さん…」
「赦さぬ?
誰も許しなぞ請うておらんがのぅ。
赦しを請うのはお主の方ではないのか?
息子を治してくれとな。
アーッハッハッ」
嬉しそうに奇妙な舞を踊り続け、ゲラゲラと笑う姿が感情を逆撫でする。
視界の端に静御前の姿を映しながら俯いた顔は憤怒の形相。
握られた双剣の手には今までにない、おびただしい魔力が凝縮されていた。
「ユーキ=シャーロットの名に命ず……
怒りの光は極光の光……
我の怒りに光の精霊よ力を貸せ……
ライトニング・エクスプロージョン……」
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