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「リーサちょっと良いか?
ユーリの呪いを解く方法があるかもしれない」
結城の言葉に驚くリーサの傍に寄り耳元で小声で話す。
「多分ここに居ても解く事は出来ない。
しかし、エルフの力を借りる事が出来れば何とかなるかもしれん。
彼等は俺達よりも博識だからな」
結城の言葉にリーサは一抹の不安を覚える。
「でも、それは彼等が力を貸してくれたらの話しでしょ?
彼等が私達人間の願いを簡単に聞き入れるなんて……」
「だが、此処に居れば目の見えぬユーリなど簡単に死んでしまう。
あそこなら最悪王家の紋章があればもしやと思うがどうだ?」
確かにこのままでは目の見えない者など生きていく上で辛くなるのは分かっていた。いくら結城の息子といえども彼一人を庇いながら闘う事など出来ない。
「頼むリーサ、これしか方法がないんだ。
俺達にはこれ以上、どうする事も出来ない」
リーサにも結城の言いたい事は理解していた。しかしそれはユーリにとって尤も辛く険しい選択である事も理解していた。
一拍悩み、確かにこれしかないと頷く。
「分かりました、では数日後にでもこの地を立ち彼等にユーリを託しましょう。
このネックレスと共に……」
リーサの手の中にはネックレスが月光を浴び淡い光を放つ。
「すまん俺が不甲斐ないばかりに、
リーサにも苦労を掛ける」
「私は結城と出会って幸せ者でしたよ」
彼女の優しさが身に染み、そっと抱き締める。ただもう一度すまないと呟いた。
少しの時間の後、思い立った表情で部屋を出る。それはユーリの為に以前より用意させていた物の完成を急ぐ為だった。
「助爺、例の物を用意してくれ。
それを数日中に仕上げる」
厳しい表情を汲み取った助爺は、厳重に桐の箱に入れられた物を取り出す。それは以前結城が切り落とした酒呑童子の角だった。
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