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結城達との思惑とは違いユーリは頑なに拒否する。今までの経緯を説明するが、年端もいかぬ子供に理解など出来る筈も無く行かないと一点張り。
「ユーリお願いちゃんと聞いて!」
聞く耳を持たないユーリは足を小さく折りたたむと耳を塞ぐ。
「嫌だ!
僕は父さんと母さんとユージと一緒にいる」
「でもこのままじゃダメなの、
分かるでしょ?」
頑なに拒否し光の無い瞳から涙を流し小さく頭を振るのみ。このやり取りがもうすでに半日以上続いていた。
「お母さんだって辛いの、
だからちゃんと聞いて……」
「だって明日治ってるかもしれないでしょ?
だったらここに居てもいいでしょ?」
このままでは埓があかないと、リーサは視線を結城に向ける。結城は腰を上げるとユーリの側に座った。
「ユーリちょっと良いか?」
「父さんでも嫌だよ、
僕はここに居る……」
相変わらず拒否するユーリに結城は囁く様に話す。
「ユーリ魔法教えてやろうか?」
聞いていない振りをしていても身体がピクッと反応する。
「ちょっと長くなるけどちゃんと聞いてくれ。
前に魔法の事を教えたよな?
基本四つの聖霊がいて自分に合った精霊の庇護に入らないと魔法は使えん。
ここにも聖霊はいる筈なんだが、
力が弱すぎて姿を現せないんだ」
「姿が現せなかったらどうなるの?」
「話す事が出来ないから庇護を受ける事が出来ないだろ?
だからここの人達は魔法が使えないんだ。
父さん達はもう庇護に入ってるから聖霊の力が弱くても大丈夫なんだけどな。
だからお前が魔法を使うには、父さん達の居た世界に行かないといけない分かるか?」
返事はないが代わりにコクッと頷く。それを見た結城は安心したのかユーリの頭に手を乗せ話を続ける。
「まぁ、もうちょっと聞いてくれ。
それに目の事だ、あそこに行けば治せる可能性がある。
ここで闘えるのは父さん位なんだ。
父さんは救世主じゃない、救世主を待っているんだ。
それがお前かもしれない」
救世主という言葉によってユーリの態度が一変し塞いだ手を開ける。
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