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酒呑童子の命により妖が行動を開始。結城の張った結界を破壊しようと境目にて争いを起こしていた。
「チィッ!
またかよ!指揮は誰だ!?」
「ひ、率いるは羅刹と羅生門です!」
羅刹と羅生門の名を聞いた皆は、恐怖によりただ震えるばかり。結城が来る迄の闘いにおいて妖達は恐怖により混乱させ、その元凶は酒呑童子、羅刹、羅生門であった。その名を聞いた者は恐怖が故、何も出来ずにいた。
「二人は俺が!
動ける者は雑魚共の相手を!
それ以外は女子供を守れ!」
力強い結城の言葉により先程まで恐怖していた皆に力が漲る。
『おぉ!
我等は結城殿と共に!!』
結城は静かに立ち上がると、
「リーサ、後は頼む。
ユーリは助爺の言う事聞くんだぞ」
「結城、待って……」
リーサは結城を引き止めると一拍おき、両の手を胸の前で合わせ祈り始める。
「シーリウスの女神クロノスの名において……
この者達に刻の加護を……」
リーサの祈りによって闘いに赴く者達に光のローブが覆い被さる。光のローブは羽の様に降り立つと身体に吸い込まれる様に見えざる衣となった。
「結城、
これ位しか出来ませんがご武運を……」
助かると呟くと戦地に赴く顔ではなく、穏やかな笑顔を見せると抱き締める。
「皆の為に行って来る」
「父さん頑張れ!」
二人の言葉と笑顔を背に颯爽と走り出した。
「皆死ぬな!
傷付いたらすぐに帰還しろ!
負った傷はリーサが必ず治す!
生きてこその闘いだ!!」
結城の言葉により、更に闘う意志を強くした人々は後に続く。
「皆は左翼と右翼に別れて雑魚どもの相手を!
中央の羅刹と羅生門は俺に任せろ!」
今までの闘いにおいて力無き者には無理をさせず、自らが危険区域に身を投ずるやり方で闘って来た。そうする事によって恐怖に支配された者達を奮い立たせて行く。
その彼の後姿を見て皆は言う……
神の子結城と共に!!
皆と十分に距離が開いたのを確認するとチラリと前方に開けた本陣へと視線を向ける。
「さすが本陣、雑魚が多い。
ちょっと位減ってくれよ!」
馬上にてたずなを放すと、両の手を前方にかざし詠唱を始める。
「ユーキ=シャーロットの名において命ずる……
右手に聖なる光、左手に聖なる鎖よ此処へ……
魔よ退け……
ホーリーチェーン!!」
左手に光る鎖が現れ右手には光の玉がそれを混じり合わせると前方の本陣に向い一気に解き放つ。
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