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都へ着きネレイスの帰りを待つ。
ネレイスの方は別段問題無いのは分かっていた。
この時の為にネレイスには都を離れ、無理矢理出兵させたのも計画通り。
後はいつも通りネレイスの帰還を待つばかり…………
がらんとした宮殿に力無く座る。
この広い宮殿にいつもは煩い位に絡むユーリの姿は無い。
良しッと呟くとイレウスは身支度を整えネレイスの帰還を待つ。
ネレイス達は何も知らず帰還する。
満足気に戦果を話す皆を手で制すると、咳払いをし全てを語る。
ユーリとシーリウスとの国境に行くと、突然両親を探しに行くと言ったっきり帰って来なかったと……
自分はいつ帰るのか分からず待っていたが、帰る気配もなく置いて来てしまったと……
「だから人間等…
信用するべきでは……」
イレウスは言葉に詰まりながらも弁解する。
ネレイスは、そうかと呟くとそれ以上の問責は無く1人にしろと言った。
逆にアキマーサは宮殿内に響き渡る声でイレウスの胸倉を掴むと、鬼の形相で激昂した。
イレウスはアキマーサと同様に女王からの辛辣な言葉で責めたてられるのを期待していたのかもしれない。
「えーい煩い!
静かにせんか、ユーリが決めた事じゃ別段何も変わらん。
今までの日常に戻るだけじゃ」
ネレイスの一喝により、その場は大人しくなるがアキマーサのすすり泣く声と、それを慰めるセガールの声だけが宮殿に響いていた。
皆が立去るその刹那、ネレイスがイレウスを引き止める。
「お主は何故泣いておる?
ユーリの意思じゃ、お主が気に病む事もあるまい」
イレウスは何も言わず、ぺこりと頭を下げ一言、すみませんとだけ答えた……
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