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―――…
「ふぅ。」
閉店間近、私はお客さんがいなくなったテーブルを拭いていた。
もうお客さんも来ないだろうし、いろいろ片付けてしまっても大丈夫だろう。
―――カチャカチャ、ザーッ
厨房の中から食器を洗う音が聞こえてくる。
私はテーブルを拭きながら、チラリと横目で厨房を見た。
そこにいるのは、アイツ…吉野。
パスタ屋 Smart Kitchen のバイト仲間だ。
今から2年前の同じ時期に、私はフロア担当、吉野は厨房担当としてバイトに入った。
最初から吉野に対する印象は『最悪』の一言で。
私に対する態度と他の人に対する態度の、明らかな違い。
他の人には笑顔で話すのに、私に対してだけ、超無愛想。
ニコリともしないし、口を開けば『邪魔なんだけど。』『…あんたさ、うるさいよね。もうちょっと落ち着けば?』。
やっと口開いたと思ったら、それ!?
むっかつく!!!
年下の私のことガキ扱いしてる上に、絶対にバカにしてる。
きっと、吉野は私のことが気に入らないんだと思う。
でも、私が何をしたって言うの!?
顔と頭は良くても、性格は悪い。
吉野はそんな男だと、私の中にすぐにインプットされた。
私が吉野のことを嫌いになるのには時間はかからなかった。
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