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袋田先生は僕の右耳を左手で摘み上げ、無理やり引っ張ると、またいつもの『ありがたいお言葉』を皆に語った。
「良いか、君達。この世は不平等だ。上に立つ者が居れば、必ず下に堕ちる者が居る。そう、下にはこいつのような、ダメな奴も居る。」
袋田先生の、僕を睨みながら強調した言葉にクラスの一部、いや殆どの生徒が含んでいた笑みを零した。
「だが、君達は必ず上に立つ事が出来る。何故なら君達はこいつと違って、真面目に勉強をして、真面目に生きているのだからな。皆、落魄れないよう心がけたまえ。」
「はい!!」
袋田先生のその言葉に、皆――いや僕以外の一人を除いて――が良い返事をした。それに満足したのか、袋田先生は突き放すように僕の耳を放し、席へと戻らせた。
やれやれと思いながら、自分の席に着こうと腰を下ろすと、ガタッと椅子の動く音が聴こえると。
「ぶっ」
ガタン、ガン。
後ろの席に居た男子生徒が何とも楽しそうな顔で、椅子を後ろへ引いた事によって僕は後ろへ転げ、頭を椅子に一回。固い床にまた一回と、連続で落ちてぶつける事となった。
頭を強く打ち、脳が揺れた倒れた事で、視界が震え、鼻血も出る始末。これにはクラスの皆は大笑いする始末。
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