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「何の用? 『美鶴』。」
「もう、相変わらず、愛想が、ないわね、クロは。一緒に、帰り、ましょう? ね?」
どうにか呼吸が整ったのか、区切りを入れながら要件を述べながら顔を挙げた彼女の名は、『西条 美鶴-サイジョウ ミツル-』。クラスで一番の人気者で、男子の憧れの的。そして信じられないだろうが、僕の幼馴染だ。
その証拠として、彼女だけが僕を親しみの意味を込めて、名前の九郎をあだ名で『クロ』と呼んでいる。僕はどっちでも良いけど。
一緒に帰ろう、と提案をした美鶴の意見に僕は一言。
「やだ。」
これだけ。これだけ言い捨てると、僕は彼女の横を擦り抜けて先へ進んで行く。
「ちょ、だから、待ちなさいってば!」
断っても断らなくても、彼女は嫌でも付いて来る。結構長い付き合いだから、この展開になっても、驚きもしないけどね。
結局、彼女の強情さに僕はまた折れて、流れで一緒に帰る事となった。
いつもの事だけどね
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