起【欠点だらけの少年】

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―――…… 授業時間の最中、当然の事ながら先程のイジメによって出遅れてしまった僕は、教鞭を振るっている先生が授業を取り仕切っている教室へと、無粋にも扉の喧しい音を嫌でも鳴らして開いて足を踏み入れた。 教室の誰もが一斉に僕の方へと興味に近い視線を突き刺して来る中、教室の前に立っていた白髪頭の男性教師、歴史の袋田先生が眼鏡の奥から瞳を光らせていた。ここだけの話、袋田先生はかなり陰湿で生徒への対応に大きな差がある。 「んー。仇、また十分以上の遅刻か。良い御身分だ。これで一体、何度目になる。」 「すみません。多分、これで五回目」 「六回だ。お前は本当に、やる気があるのかどうかが、怪しく思えて来たぞ。」 そんな事を申されましても。僕にどんな諸事情があろうが、この先生には一切関係のない事だった。 因みに、僕を呼び出して痛め付けた二人組は、この教室の後ろの席でちゃっかりと授業を受け、僕が嫌味を言われているのを愉快そうに見物をしていた。
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