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真実
すると突然、部屋の入り口付近から
「おいおい、シャオそれぐらいにしておけ」という声がした。
倒れそうになりながら、シアノは声のするほうへ顔を向けると
そこには白いローブのようなものをまとった男が
いつの間にか部屋へ入ってきて立っていた。
「あ~ドラゴンもう仕事は終わったのぉ?」
ドラゴンと呼ばれた男はローブから顔を出しながら答えた。
「あぁ今回は飛竜どもの調査だけだからな」
「じゃあアス姐も一緒に帰ったの?」
「そうだ、しかし大陸の大型の飛竜どもの最近の増え方は異常だな。王が心配するのが分かるぜ。」
ドラゴンの太い声は部屋中に響き渡った。
シアノは、まるで自分など居ない存在のように会話をしている二人をただ呆然と見るしかなかった。
ふとドラゴンの視線が、シアノのほうに向いた。
「あ~そうだ、あんたがシアノさんかい?王に話しは聞いたよ。あんた見込みがあるから鍛えてやってくれとな」
「な、なんだと?!」
「はっきり言っておくが俺がここの部隊の中じゃあ一番強い、でもなぁこの城ん中じゃあ中の上ってとこさ。
この国は小さくて資源もあるが侵略がまったくされねぇんだよ。あんた、なぜだか分かるかい?」
「・・・・・・」
シアノは、この男が何を言いたいのか分からなかった、
それに今のシアノには、そんなことを考える余裕もなかったのである。
「分からないようだから教えてやるよ、この国には師団長と呼ばれる鬼みてえな奴等がいるのさ。
そして、その頂点にいるのが王ってわけよ。 俺も戦場で何度も見たが、あの王の本当の強さは半端じゃないぜ。
たぶん、ここにいる全員でかかっても王に本気を出せることも下手すりゃあ触れることも出来ないだろうぜ、まぁだから平和なんだがな、この国は」
(なんということなのだ、先日見たあの品の良さそうなだけの男が
それほどまでに強いだと・・・それにそれで平和だと・・・)
「そ、そんなことが・・・あって・・・たまる・・・か・・・」
ドサッ
勝負での疲労と精神的ショックでシアノは気を失ってしまったのである。
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