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こうなることを少なからず望んでいたけれど、なにも『今』ではない。
こんな勢いだけの関係が長く続くとは思えない。
やっと正気に戻ったこころは止めるなら今だと「待って、湊」制止をかけた。
「やっぱ、やめる……」
「ここまで来といてなに言ってんの」
「怖いって言うか、なんか違うって言うか……」
「最初は痛いだろうけどそのうち気持ちよくなってくから諦めて」
「…………、」
「そんな顔しても無駄だから」
やめるという選択肢を断たれた今、こころは泣きそうな顔をする。
くしゃりと口許を歪ませ、顔を横に向ける。
湊を直視することが辛かった。
どんなことをされても好きでいられる自信があるので、終わった後も傍にいたいと思うのだろう。
そんなの、切なすぎる。
「さっきも俺に熱視線送ってくれちゃって、どうしてやろうかと思ってた」
「……! 気付いて……」
「当たり前。好奇心旺盛ですねぇこころちゃん?」
「~~~~っ」
恥ずかしい。
恥ずかしすぎて死ねる。
穴を自ら掘ってでもどこかに入りたい。
湊はきっと愉しそうに笑ってる。
見えなくてもそうに決っていると、声色が語る。
「教えてあげるね。俺の得意なこと」
「っ、」
「足つぼマッサージだよ」
「……え?」
瞬間、体に電流が走ったような衝撃が訪れた。
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