出会い

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「た、助けて下さい。逃がして下さい。」 ミッキーは恐怖のあまりヨーゼフの目から視線を外す事ができなかった。 ヨーゼフはそんなミッキーを不思議に思いながら 「ここは私の縄張りだから私も早く出ていって欲しい位だ。」 と正直な感想を洩らした。 そしてイタズラっ子の様な笑顔をミッキーに向けた。 『でっかい歯……』 ミッキーはますます恐怖におののいた。 ヨーゼフは怖がっているだけのミッキーから顔を背けて小さくため息をついた。 『ネズミは遊んでくれない』 ヨーゼフは朝夕の散歩以外は鎖に繋がれ何もする事がなかった為、ミッキーが暇潰しに……できれば遊び相手になって欲しいと思っていた。 しかし、腰を抜かしたまま『助けて』としか言わないミッキーはヨーゼフにとって何の興味もない存在だった。 『こんな事になるなら捕まえなければ良かった』 ヨーゼフは恨めしい目付きでミッキーを見つめた。 ミッキーを捕まえた時が一番楽しかった。 捕まえられるかどうかのスリルがある分楽しかったのだ。
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