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「どんな感じだい?」
半袖のYシャツにネクタイという、ヒョロリとした年配の男性が作業服姿の若者に声を掛ける。
「今の所問題有りません、順調です。」
筋肉質な体格の若者が椅子をずらし移動する、Yシャツ姿の男性がモニターの中を覗き込み、異常の有無を自分の目でも確認した。
「小林局長自らのご視察ですか?」
若者の隣に座り、前方の大型モニターを仰ぎ見ていた男性が驚いたようにYシャツ姿の男性を見やる。
「ちょっと気になったものでね。」
小林局長と呼ばれた男性は、銀縁の薄い眼鏡を右の人差し指で押し上げながら答えた。
少し大きめに見えるYシャツは、以前はピッタリだったのであろう、初老の小林は髪も肌も白く、頭髪も随分寂しい物になっている。
「佐木君の方は異常なし、宮本君の方は?」
佐木と呼ばれた若者は、短髪に日に焼けた健康的な肌、筋肉質で背も高い、技術者と言うよりは自衛官のような佇まいだ。
「こっちも異常なしですよ。」
宮本はでっぷりと突き出したお腹を、窮屈そうに動かして椅子をずらす。
場所を移動して宮本の前にあるモニターを覗き込むと、こちらもやはり異常は無い。
前方の空を写し出した大型モニターを見上げると、飛行実験中の機体が優雅に空を漂っている。
数え切れない程のモニターとスーパーコンピューターが埋め尽くす管制塔、そしてその室内を、やはり数え切れない程の技術者達が忙しく動き回っていた。
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