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転た寝少女と呼ばれる由縁がよくわかる。これならば転た寝少女のニックネームを否定できまい、するきも、ないのだろうが。
「おい、おきろ。自己紹介お前で最後だ転た寝娘」
触れはしない。あらぬ疑いをかけられても困る。……触れられない訳も、ありはした。
「うん? ……、理解した」
ついいままで寝ていたとは思えないしっかりとした立ち上がりをみせ。
敬礼を何故かした。何故だ、寝惚けているのだ。
「私はルル・ルと申しまして。二等兵であります!!」
ルル・ル。ルルルと歌いだしたいのか。
「すべて違うじゃねえかよ。お前は転た寝少女または娘、もといブルー・ペグランタンって名前だろうが!」
すかさずレクは指摘するとどんな夢を見ていたか知らないが、数秒のまのあと前言を撤回する。
「あはは。ブルー・ペグランタンって名前あんまり可愛くないじゃん。まあ、一応クルレット魔萠学園に入学したから二等兵だよ」
ああ、それはそうだ。レクは思い、内面を口にした。
「どうすんだよ、お前のせいでクラスの皆からひかれたじゃねえかよぉ……これで今年もおれは色恋期が過ぎ去るぜぇ……」
涙ぐみたいけれど、涙はでない。伊達に、上等兵になるまで努 力はしていない、というか地獄はみてはいないのだ。
「改めて、私はブルー・ペグランタン。転た寝娘とか転た寝少女とか呼ばれてます、出来るなら――愛称で呼んでくださいね。呼ばれなれてるのでそっちの方が反応が早いんです」
ブルー・ペグランタン。そんなまた変わった名前の少女は、悲しい現実を自己紹介した。ともあれば、自業自得の賜物でしかないそれに誰もが反応に困り、苦笑いを浮かべてしまうのだった。
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