真夏に入り浸ろう笑えば良い、夜もすがら

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「……何時か絶対に保留出来なくなって、否応なんぞ皆無で、強制的に答えを蹂躙される。世界に呑まれる事がないように、だ」 「分かってる」 ベッドから立ち上がり、ローブの端を揺らして部屋の中央に歩み出た。その背『形』は〔世界最強〕何て称号ですら霞むような巨大で安心出来る『意味』 喩えおれだけの形への意味であれ、振り返らずに言葉を紡ぐリストに微笑した。 「猫族の村に兎族だった俺も住んでいたんだが、記憶はあまりないからなー……」 フードを被り、耳や目に何もせず、台詞が場に糸を引く。 「これだけはこの四つの耳にこびりついているぞ『正しさと悪さが本来形にはないように、世界には二面性でも多面性ではなく一つの形しかない』何て言葉が」 「……ああ」 「魔法と魔術と科学と……正しい何て物があるのか。悪い何て物があるのか。何故何もないのではなく、何かがあるのか考えものだな」 此方に向くリストに一言。 「おれやアリカ達の訓練をしてくれないか?」 リストは言葉を選び答える。 「願ったり叶ったり。明後日の朝五時に俺の寮に来てくれ。訓練メニューは?」 「任せる。だが血何て吐いても止めねえぞ」 「分かった。じゃあな。ありがとう」 軽く手を上げて答えれば、薄暗い部屋からリストが消失し、無音が部屋を歩く。 数十秒、思考して腰の剣を外して右手に持ったままベッドに仰向けに転がった。 「ハクシ……明日は久し振りに服とか買うか……」 何時までも布二枚のハクシ、白い神様だと思われる少女を放置するのは負い目しか感じない。 時計の針は夜中の三時を過ぎ、あまり寝れないかと瞼を落とした。
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