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教室へと遅れながら二人は着くと最初にみたのは人だかりである。
男子の囲みと女子の囲み、やはり思春期な高校生は異性とは簡単に会話する度胸はないのだろう。
目を反らして、まだ空いている席に目を凝らすと二つだけそれはあった。教室に入って、廊下側の最後列二つだけ。
迷わずレクは廊下側に座ろうとするが、それを肩をつかんで止めた。
のろのろと振り返ったレクは青い瞳で黒い瞳を見据え。
「「じゃんけんぽん!!」」
レクはパーで、少女はチョキ。肩を落としてレクは廊下側の席から一つずれた最後列の席に座ると、それを倣うように笑窪を深めてしたり顔の少女は廊下側の席に腰を据える。
「…………かわってくれ」
「ヤ」
一文字で、否定。あまりの拒否の美しさにレクは顔を向けた。
「おいおいおい、おい。転た寝少女、そりゃあないぜ、おい」
「なんで。私としては、というか、かなりの綺麗な返答だと思ったけど……違うかな」
心ない、勝者からの言葉はレク・ホーランと言う青年の敗北感を掻き立てた、だが、それでも、何時ものことだと諦め黒板方面へ目を配る。
色とりどりの髪色の男女、一番多いいのは金と黒、赤に青や緑。それらも目に映るが、横でまた幸せそうな笑みを湛えて転た寝を開始する少女の髪の色は茶色だ。
別段、珍しい訳ではない。明るい茶髪の転た寝少女が平均的なのだが、どうやら今年の三クラスは平均をこえて来た。
三年生になるころには虹色になるのだろうか、それを危惧したのはだんまりをきめたレクであり、転た寝をしている少女ではない。
そんなレクの元に集まる者はまだおらず、着々と着席していく他生徒は、教室に入る赤紫のローブを纏う女性教師の登場に十秒とたたず自分の席へと座り、先程まであった喧騒が木霊して沈黙が満たす。
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