笑える笑えない始まり

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「えっと。皆さん。いきなりですけど、自己紹介します。わたしは魔法学兼魔術学担当のシャル・フロウといいます、よろしくっ」 はにかむ姿は愛らしく、男性陣がどよめいた。20代前半の165㎝弱の女性教師が、この一年三クラスの担任なのだろう。 胸はそこまで大きくはなく、特徴と言えば大きな丸い紫色の瞳と、淡い赤のポニーテールだ。 これがまた、珍しい。紫色の瞳とは、なんの民だろう。 レクの思考を他所に話は進む。どこの民か詮索していたレクは、自分の自己紹介の番になっていることに気付く。 窓際から此方まで自己紹介していたはずなのに、もうここだ。皆の自己紹介聞き逃したのは自業自得である、ただ、覚えなくていいならそれは楽できる。 と、立ち上がり。 「おれはレク・ホーラン。階級は上等近兵。っつーけど、そんなことはどうでも良い。女子と男子、みんな仲良くやろうぜ。よろしくな」 いうだけいうと席に座る。勿論教室内には混乱ににた戦慄が水面に石を投げ入れたかのように波紋がたつ。 「へー……ホーランくんって上等兵なんですか……よし、次どうぞ」 シャル・フロウ先生はそう感心し、次へと流す。別に、上等兵がそこまで凄くはないのだ。 二年生になれば皆がとまではいかずとも大概が上等兵になれるし、レクの場合は中等の二年生に試験を受けたのだから、そこまで、とりたてて話す意味はない。 次へとまた流れる自己紹介。普通なものから、急に強いものになる。 その声はいまでも忘れない、酷く耳の奥でむせかえってきた声と酷似していた。 黒皮のベルト、輪が右腰にあり、そこに杖がさされていて。 女子。真っ青な髪は肩にかかり、顔はよく見えなない。だが、後ろ姿だけでも胸騒ぎがする。 身体を翻し、教室の中心に身体を向けたために顔が視界に飛び込んだ。 「私はアリカ・リックロー。アホなレク同様に、上等兵ね。勘違いはなしにしたいからいうけど、上等遠兵よ。以上」 スマート。が似合う、勝ち気な性格。すこし上向きの鼻、鋭利につりあがる目尻。真っ青な髪に真っ青な目。名前。階級。
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