最終章

4/4
前へ
/4ページ
次へ
はやく、はやく、いのちよ、おわれ。 はやく、はやく、ぼくはおわれ。 不必要な人間は消えてしまったほうが楽なのです。 だから、彼は願いました。 でも、やはり、そう。 その願いが叶えられることのないものだと彼は知っていました。 だから、彼は生き続けるのです。 どんなに不必要だと思い込んでいても。 彼はやはり、生きるのです。 真っ暗な部屋の中で独りきり。 悲しいくらいにただ、ただ、生き続けます。 それが不必要な人間に課せられた義務と罰、なのですから。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加