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明日はライブで打ち上げがある。
だから俺たちのクリスマスパーティーは今日。
中へ入ると小さなコタツは明里の精一杯の手料理がところ狭しと並んでいた。
「やるじゃん」
「でしょ?」
フフンと得意気にする彼女に「うん」と素直に頷いて、肩を抱き寄せ頬にキスをする。
「っ!?ちょ、純放してよっ!」
「やだ、放さない」
赤く染まった顔も、照れ隠しにもがくその仕草も、彼女の全てが可愛くて。
これが愛なのかもしれないと、思った。
「雰囲気出しを兼ねてのーー節電っ!」
そう言って笑う明里が、いつのまに用意したのか大きな赤いローソクに火をつけた。
ゆらゆらと揺れる暖かな炎は心が温まると同時に何故か切ない気持ちにもなる。
厳かって言うのかな。
しっとりとした空気に包まれ、並んで肩を寄せあっていると不思議と目の奥が熱くなる。
それを悟られないようこっそりと拭って、俺ははぐらかすように口を開いた。
「来年もまたイス、買うから。その次も。イスが揃ったら次はテーブル。そしたら、さ」
気恥ずかしくてその続きは言えなかったけど。
「……うん」
明里はそう嬉しそうにはにかんだ。
繋いだ手が温かくて。
いつまでもこんな日が続くような気がしてた。
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