在りし日

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事故、だった。 準備もあって前入りしてた俺より遅く会場に向かっていた明里は、スリップして歩道に突っ込んできたバイクに跳ねられた。 『ホワイトクリスマス』 そんな美しく神聖な夜を、これほどまでに恨む日が来るなんて。 こんな形でお前を失うなんて、思っても……なかった。 泣いて、泣いて、泣き尽くして。 涙が渇れたあと、俺の毎日は色を失った。 あれだけハマってたギターも握ることすらなくなって。 ただ毎日を何となく過ごして。 気がつけば、あれから三年が過ぎていた─── 今年も、街はいつもの歌が流れている。 紅白の服を着た白髭のじいさんがそこらに溢れ、色とりどりの電極が木々を飾り。 行き交う人の笑顔がやたらと乾いて見えた。 運良く就職できた俺はスーツに身を包み、駅へと向かう。 ただ家に帰る為に。 ──そんな時だった。 「純!」 聞こえたのは懐かしい、声。 ……え? 思わず顔をあげる。 そこには見間違えることのない『二人』。 「ごめん、ちょっとバンドのこと考えてた、っと、すみません」 肩がぶつかる。 あの頃の、俺と。 今のは……幻……? 呆然とした頭で立ち竦む。 振り返えって確認する勇気は、なかった。
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