鍵っ子

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「ただいま、」 ガチャリとドアを開けて 誰もいない玄関で呟く。 家には誰もいない。 お母さんはデザインの会社で お父さんは編集会社で働いている。 兄弟はお姉ちゃんが一人いて 今は中2。 自分は小6。 姉ちゃんは今頃部活。か、まだ授業が終わってないか。 どちらにしろ、まだ帰ってくることはない。 それにテニス部に所属しているから帰りが遅い。 部活に入る際に 文化部に入るか運動部に入るか 親ともめていた。 親としては文化部に入って弟の面倒を見て欲しかったらしいが 姉ちゃんはテニス部に入って部活をしたかったらしい。 実際、自分なんかの面倒を見るのも嫌だったのだろう。 誰もいないリビングのソファにランドセルを投げた。 五年間使ってきた黒のランドセルは 所々にシワがより、くたびれていた。
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