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ガラスのコップに季節にはまだ少し早い麦茶を注ぐ。
「食べちゃう?」
「うん、」
部活が盛んな時期は、お姉ちゃんのお腹が両親を待っていない。
もちろん、自分も腹ペコだから
お姉ちゃんと一緒に夕飯を食べる。
「隼人のご飯て美味しいよね、」
夕飯の食卓に並べた卵焼きを食べながらお姉ちゃんが言った。
お姉ちゃんの向かいに座った自分が姉を見る。
こんがり日焼けした肌。
肩まで伸びた髪はあまり艶がない。
「ん、ありがと。」
他の家なら、その台詞は親――強いて言うなら、母親に向けられるもので
そう言われた母親の気持ちは、
多分、
今自分が感じている感情と似ているのかもしれない。
嬉しくもあり、作り慣れてしまったことへの悲しみがどこかから滲み出てくる。
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