鍵っ子

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その感情はほんの少しで 大きな悲しみじゃない。 幸せ故に悲しいなんて なんて我が儘なんだろう。 「御馳走様でした。」 お姉ちゃんが皿を片付ける。 半端に手をつけた卵焼きは残しておいた方の皿に移す。 そして ラップをかけて鮭とサラダと一緒に置いておく。 僕も同じように皿を片付け水を張った桶に皿をつけておく。 皿洗いは基本的に2人でやる。 でもお姉ちゃんが疲れているときや、忙しいときは、自分が1人で片付ける。 その逆も然りである。 「洗うから拭いてね。」 「うん、わかった。」 短い言葉を交わし、僕は食器用の布巾を取った。 食器立てに置かれる食器を拭いていく。 拭いた皿を棚に閉まっていく。 拭き終わるとお姉ちゃんは リビングのテレビを付けた。 僕はソファのランドセルを取って、 部屋に戻った。 二階にあがる階段を上り 部屋に入る。 部屋は既に1人部屋でお姉ちゃんは隣の部屋。 青に揃った部屋の中は子供っぽい。 小さな水玉のカーテンに 淡いブルーのベッド。 小物は黄色と黒が多かった。 クローゼットには服が入っていて、 本棚と勉強机がある。椅子もやっぱり青で 部屋に入るとひんやりする。 そんなのは錯覚に過ぎないと思うけど。
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