ACT.1 怒らないから話せと言われ、話したら怒られた件について

10/10
前へ
/10ページ
次へ
「あれ何?」 「除湿器です。今からの季節は特に あった方が便利かと思いまして……。 なんならスイッチ入れましょうか?」 「うん。 このジメジメが無くなるなら是非」 「では先にシャワーの方を」 「ん……ありがとう……」 着替えを持ってシャワー室に行き、 全身を洗い進めていくうちに だんだん頭やら目が冴えてくると、 今、部屋で行われている事の異常さに 気づき、髪などビチャビチャのまま バスタオルを胸元で巻き、どこも見えていないかを確認してから扉を開けた。 「お前ら!!人の事務所で何やってんの!! 不法侵入で警察に訴えるぞ!!!」 その姿を見た若頭は何事もないかの ように冷蔵庫にくっ付けられた タオル掛けのタオルで狐牙に近づき 頭を拭いてやる。 「ったく、このままでは風邪引く。 自分の健康管理もプロのうちだぜ」 「わ、分かってるわよ!! それより、なんで、あんたが、今、 ここに、居るのよ……」 顔を見て、言ってやろうとするが、 タオルの間から見栄隠れする若頭の 嬉しそうな表情が狐牙の中の羞恥心を 駆り立てた。 【穴があったら入りたい。】 「契約書56にクライアントは できるだけ詳しい情報を教える 義務があり、それを見つけ次第 私に報告する事って書いてあった」 「わざわざ言いに来たの?」 「携帯も、電話も繋がらなかった場合 普通会いに来るだろう」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加