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「だいたい、貧困層が探偵とか雇っても
意味がないって言うか、財力あるもの
勝ちって言うの?
頼んで金さえだしゃ、その情報が
どんな事に使われるかもお構いなしに
何でも調べてくれる。
世は金。札束をひょいひょい出せば
買収なんて赤子の手を捻るより簡単」
街がネオンが輝く頃、キャバクラ
snow flowerで狐牙は紫のドレスに
身を纏い隅っこに座り接客をしていた。
代議士の息子。
金の羽振りがよく多少のお触りも
みんな見て見ぬふりが当たり前。
しかも、今日はsnowに来た時には
すでに出来上がっており、
気持ち良さそうに"探偵"について
語っていた。
「だいたい、金を貰って人の事を
こそこそ嗅ぎ回るのって言わば
ストーカーな訳だよ。
警察沙汰の話だよ?そんなのが何で
職として認められてんのかね~」
「あら、探偵もなかなか凄いのよ。
事件を解決へと導いたり悩みの種を
抹消してくれたり……。
お兄さん、マンガとか読まないの?」
狐牙は淡々と反論すると最後は
呆れたような物言いをした。
「はぁ!?漫画なんてこれっぽっちも
リアル感がねぇよ。
大事なのは今。なぁ分かるだろ?」
隣の女性は腰に違和感をもち、
「えぇ……」
声を震わせた。
見て見ぬふりなど到底できない狐牙は
自分の前に置かれてあった口付かずの
お酒が入れられたコップを持ち男に
中身をぶちまけた。
「何しやがるこのアマ!!」
「あら、ごめんなさい。
手がすべってしまって~」
怒り狂う男を前にヘラっと笑う狐牙に
長くも纏められた髪を掴み、通路へ
投げ飛ばす。
「いい気になんなよ!!
これが客に対しての態度か!?あぁ!!」
狐牙の前にしゃがみ、前髪を掴み
自分の方へと向かせる。
回りは騒然としているものの、
止められる者はいない。
「申し訳ありません」
低音で囁き、怒りに任せて表情を作り、
男を見る狐牙。
「何だよその目は……」
狼狽えていると感じた次の瞬間
髪を掴んでいる手を掴み、
逆手に伸ばし、立ち上がる。
「いってぇ!!」
膝をつき、男は孤牙を睨み付けるが、
孤牙の眼力はさらに上をいく。
「ギャーギャー喚くな。
まだ10%も力を出してはないでしょ?
それとも、龍聖会幹部とあろう者が
女に膝つかされてギャーギャー喚く事
しかできないの?」
「お前……はいったい……
どこでそれを……」
「フッ、私の仕事柄、地域の事には
詳し過ぎて困ってんのよ」
さらにギチギチと音を鳴らしながら
腕を後ろで押さえつけ耳元で囁く。
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