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カラカラカラカラ......
鉄パイプを引きずる音、闇に紛れるかの
ように黒を纏う集団の行き先はsnow flower。
立ち止まり、先頭の男の合図で
玄関の扉を蹴破ろうとすると、
扉は自動的に空き、拍子抜け。
男達が全員店に入り飛びを閉めると、
パッパッパツ
店の照明がつき、
狐牙は椅子に立ち両手を広げた。
「ようこそ、パラダイスへ!!」
それは紛れもなく自分を転けにした女。
「よぅ、姉ちゃん。
なんや、昨晩かうちの若いもんを
転けにしてくれたそうやな」
「え?あぁ~そんな事もあったね。
で、何?仕返しでもしに来た?」
「さぁな!!」
椅子を蹴飛ばし、
鉄パイプを狐牙に向ける。
「怪我しとう無かったらさっさといね」
「稲!?」
「じゃかやしい!!殺されたいんか!?」
笑いながらでは迫力ないなぁ~っと
思っていたら、それは顔にも出ていて、
相手のボルテージやらテンションからは
天辺まで駆け上っていく。
「あぁ~、私、こう見えても、
喧嘩の方はめっきり弱いのよ。
かと言って殺されるのもごめんだから、
悪いけど貴方達の相手は助っ人さんに
頼んじゃいました!!どうぞ!!!」
狐牙はカーテンが掛かるキッチンの方に
手を差し出すと奥から出てきた男性は
その手を取り、狐牙に頭を下げた。
「始末つけに来てやったぞ」
「わ、わっ、若頭!!!!!!!」
闇討ちしに来た連中は一斉に膝をつき
頭を下げまくった。
「下らん事をしやがって、彼女に
転けにされただと!?元はと言えば吉野!!
お前がうちの看板を利用したのが
悪いんだろうが!!
しかも女に負けてノコノコ帰ってきて
闇討ちったぁ男の風上にもおけねぇ」
「も、申し訳ありやせん!!」
連中の一歩前で土下座。
「俺の島で生きていきたきゃ、
下らん事をするな、親父の耳に
入る前に俺の所に来たこいつに
感謝するんだな!!」
「はい!!」
「さて、飲ませてくれ。
ここは俺が払うからよ」
「はいよ、毎度あり!!」
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