ACT.1 怒らないから話せと言われ、話したら怒られた件について

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余計な事を言ったと言う認識が合った為 急いで目を閉じ、頭を防御するが、 なかなか痛みはやってこない。 目を開けて若頭を見ると、 複雑な顔をしていた。 「迷惑か?」 「えっ?」 「ヤクザの息子って言うだけで、 一般人と関わっちゃ相手が迷惑か?」 「いや……そんな事は……」 いつものように冗談だと受け取って くれると思ったのに、これでは 自分が悪者ではないか。 「まぁ……、少なくとも、 私も一般人だけどさ、自分も相手を 好きになればヤクザとか一般人とか 関係なくなると思うんだよね。 知らない世界で、命を賭けなきゃ いけなかったとしても、相手が自分を 守ってくれるなら私は気にしない。 でも、一般人として穏便に過ごして くれようとする姿勢は感謝するし、 嬉しいと思うよ」 「その言葉に二言はないな」 急に真顔になられると、 狐牙は自分の言葉の重さを知り、 当て触りのない言葉を選んだ。 「二言はないって言うか、 少なくとも私は、って話ね。 他の人がどうとかは知らないよ?」 「いや、十分だ。 可能性が1%あれば信じる価値はある」 大袈裟だなっと心で呟きつつ、 物が散乱する机の上から 契約書を取り出し、若頭に手渡す。 「なんだこれ」 「契約書」 「サインしろってか、内容は?」 それぐらい自分で読めよと言いたいが、 自分の要求を書きすぎて文字が小さい 事は狐牙自信分かっているので、再び 契約書を手に読み始める。 「若頭さんに関係のあるところは……。 契約書、その1。 簡単な依頼でも、リスクが伴う場合 何があっても私の命はクライアントが 保証するものとし、万が一の時は、 御酒葬にする事。」 「なんだ、その御酒葬って……」 「私の大好きな御酒を探して、 皆で飲んで笑ってもらうの」 「葬儀でか!?」 「うん。 契約書、その2。 私のお財布からは一円も出させないよう クライアントは最善の努力をする事。 契約書、その3。 来て欲しい服などは借り物ではなく、 買い与える事」 「ちょっと待て、そんなものはお前が 用意するんじゃねぇの?」 後ろから茶々をいれる若頭に ムスッとした表情を見せる。
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