プロローグ

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   彼女の肩に手を置いて、ゆっくりと抱き寄せる。  そして、その唇に俺の唇を寄せていく。 「翔悟、駄目だって言ってるでしょ」 「でもさぁ、奈々緒。俺ら、付き合って三ヶ月だぜ。いい加減、キスくらい許してくれたっていいだろ」 「やだっ」 「やだって、奈々緒。恋人なら、三ヶ月も付き合えばキスするだろ」 「だって、私は初めてなんだよ。初めてのキスは、大切な思い出にしたいでしょ?」 「でも、三ヶ月だぞ」  こんなやり取りを、俺と奈々緒は二ヶ月は繰り返している。デートの度だから、何回かなんて思い出せもしない。  俺、柏井 翔悟は高校三年生。
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