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「それはそれは…心遣い、痛み入ります」
冷笑し、孝子は
「上さんが此方にいらっしゃりませんのは、他でもなく、そなたが上さんの裾を引いて離さないからではないやろか?」
と、扇子で春日局を指した。周囲に緊張が走る。
春日局はゆっくりと顔を上げると、
「異なことを仰りますな。上様は、魅力的な物や人にはお自ら進んで足を運びまする…」
と言い、クスッと笑った。周囲に小さな笑いが起こる。
パチンと音を立てて、孝子は扇子を開いた。その音に笑っていた者達がハッとして気まずそうに顔を赤らめる。
「成る程…よう分かりました」
孝子はフンと笑う。
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