プロローグ

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『お姉ちゃんに内緒…ね?』 好きでもない男に、好きだと言って。 なんとも思ってない男に、媚を売って。 どうでもいい男に、ハジメテを捧げた。 『茜のことも、好きだよ』 でも、結局あたしは一番にはなれなくて。 心に大きな傷を作っただけだった。 あたし『茜』の花言葉。 媚び、誹謗、不信、傷。 あたしにピッタリの花言葉。 椿とは正反対の醜いあたしをそのまま表しているような言葉。 そんなあたしにも初めて出来た彼氏。 椿ではなくあたしだけを見てくれる、そんな彼だった。 幸せだった。 初めて“あたし”を好きだと言ってくれた人だった。 初めて“茜がいい”と言ってくれた人だった。 その言葉を、その笑顔を、その温もりを。 あたしは信じて疑うことなかった。
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