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「「「ありがとうございましたっっ!!」」」
体育館に隣接されている道場では、高校生くらいの女子達の掛け声で満ちた。
円になり、礼をする彼女達を見てみると、皆袴を着ていて、右手には竹刀を持っている。
そう、此処は女子剣道部だ。
どうやら終わりの様で、一斉に多方向へ人が散らばり始めた。
そんな中、
唯「あぁっ!!疲れたぁ…」
ちぇっとブツブツと文句を言いながら、一人の女子が竹刀を振り回す。
大石唯、高校2年生。
彼女は剣道を小学校から続けており、腕前は部の中でかなりある方だ。
先輩にも一度も負けた事が無く、高校に入るまでは無敗だった。
のに………………
唯「また、美鈴に勝てなかったぁ………っ!!!!」
唯にはただ一人、絶対に勝てない人がいる。
奈々「しょうがないって、あの美鈴相手なんだしね~」
もう一人の女子、高橋奈々の様子からすると、唯はいつも”美鈴”の事でいじけているらしい。
唯「うぅ…次は…次こそは絶対に勝つから!分かった?美鈴!」
唯は奈々に頭を撫でられながら、少し立ち直った様で…
入り口の方にいる美鈴に声をかけた。
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