奪われた物の価値

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「こちらは、お客様の簡易ステータスです。犯罪歴などが表示され信用のある人物かを判断するために使われています。お客様は、犯罪歴がないようですね。ギルド信頼度はBからになります」 「はぁ。それって何か変わるんですか?」 「はい、信頼度が高ければ、報酬の高い指名依頼が多く入り、ギルドランクも早く上がります。ギルドランクが高ければ、他のお店などでも優遇されたり等々、良い事ばかりです」 「そうなんですか。その、依頼ってなんですか?」 「依頼とはお客様に紹介できるお仕事です。指名依頼はお客様に名指しで依頼が来ているということです」 「あぁ。でも俺、仕事持ってるんで」 「掛け持ちでも大丈夫です。ギルドは登録するだけでも身分証明になるカードを発行されますし、カードに持ち物登録してあれば、盗難防止にもなったりしますよ」 「入ります」  盗難防止は魅力的だった。何せ、すでに盗難にあっているのだから。 「かしこまりました。引き続き買取ですね。商品をお預かりします」 「はい」  信吾は腕時計を渡し、査定の間ギルドの中を見て回った。ギルドの中は酒場になっていて、朝から酒を飲んでいる連中もいる。よく見るとそれは、病院にいた兵士たちではないか。 (こいつら! 誰の服を売った金で酒を呑んでいるんだ!) 「にしても儲かったぜ! 服なんかにあんな値段が付くなんてな!」 「あの平民にはもったいない服だったんだよ! あいつもどっかで盗んできたんだろうよ!」 「俺たちは兵士として盗品を回収しただけってことだ!はっはっは!」 「たいちょうー。ちゃんと俺達にも分け前くださいよ!」 「へっ! わーってるって!まずは呑もうぜ!」 「……」  気がつくと信吾は右手で拳を握りしめ、隊長と呼ばれた兵士の肩に左手を置いていた。
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