奪われた物の価値

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「……なんだ?」 「あっ! こいつ昨日の!」 「あぁ、街中でぶっ倒れてた平民か。なんだ? 御礼でもしに来たのか?」 (勝手なことを言いやがって!)  信吾は、スキルのことを思い出し試しに使ってやろうと頭の中で[ドレイン]と唱えた。 「なんだ!?」  肩に手を置かれた兵士が騒ぎ出す。信吾は、なぜか力が漲ってきて饒舌になる。 「ずいぶん好き勝手してるな。その金は何処から出てるんだ?」 「な、なんだてめぇ! 何しやがった!?」  兵士は何故か慌てている。 「昨日、倒れてた俺から身包み剥いだ連中がいるらしくてな。そいつらが言ってたんだよ。今から一杯やるぞって」 「それがどうしたよ! 俺らに関係あるか!」 「お前らのことだろうが!!」  信吾は、兵士の肩に置いた手に力を入れてこちらを向かせ、おもいっきり顔を殴りつけた!鈍い音を立てて兵士が吹っ飛ぶ。すると、周りの兵士たちが急に慌てだした。 「っ! たいちょー!!」 「やばいぞ! 隊長が一発でのびてる!!」 「マジかよ!! 隊長は俺たちより10もレベルが上なんだぞ!?」 「あいつがそれより強いってことだろ!!」 「とりあえず逃げるぞ!」 「お、おい! 待てよ! ……金は全部隊長が持ってる」  そう言って兵士たちは隊長と呼ばれる兵士を置いて逃げていった。 (最悪な連中だな)  漲っていた力が身体に馴染む。  倒れている兵士の懐を探ると信吾の革の財布とジャラリとなる布袋が出てきた。財布を調べると札やカード類はそのままで小銭だけが空っぽになっていた。布袋の中には恐らくここの通貨だろう金銀銅、大小のコインが入っていた。
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