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信吾が自分のスキルについて考えていると、受付の女性が声をあげる。
「そうでした! 魔道具の鑑定が終わりました! 素晴らしい物ですね。時を見る魔道具。魔力じゃなく何か他の力で動いているようです」
「あの、魔力って?」
「ええ、こちらの品物は何か魔力とは別の力で動いているそうです。こんな品、何処で手に入れたんですか?」
(何かよく分からないが、魔力を知ってるのが当たり前って感じだな。ここは変に質問せずに、お金だけ貰って早く出たほうがいいだろう)
魔力と言う言葉に、宗教的なものを感じた信吾は、適当に切り上げてギルドから出ようと考えた。
「親に貰ったもので、昔から持ってたんです」
「そうなんですか。でしたら売らずにとっておいたほうが良いのでは?」
「いえ、とりあえず家に帰るための旅費にしたいんで」
「そうですか。かしこまりました。1000万GILになりますがよろしいですか?」
「いっ! 1000万!?」
その金額に驚いてしまうが、日本円ではないことを思い出し、その金額で買える物を聞いてみた。
「それって、何がどれ位買える額ですか?」
「そうですね……、貴族が使う豪邸が二棟……いえ、三棟は買えるでしょう」
想定外の金額だった。恐らく日本円にすると9億から10億程だろうか。信吾は少し呆然としながら呟く。
「……豪邸が、三棟……」
「はい、それで、ご相談なのですが。今ギルドにある現金が確実に足りません。よろしければ一部を現金で、残りをギルドカードに入金させていただけたらと……」
「え!? そのカードってそんなことまでできるんですか?」
「はい、ギルドカードは現金をお持ちでなくてもギルドと提携しているお店なら、現金がなくてもカードに入っているお金でお取引が可能です。この街にあるお店なら何処でも使えます」
「へぇ。電子マネーってことですか」
「でんし? なんですか?」
「ん?あぁ、いや! なんでもないです。じゃ、全部カードに入れてください」
「そうですか! 良かったぁ。ありがとうございます!」
そう言って透明なガラス板のようなものにカードをかざすと、ガラス盤とカードが光を放つ。
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