奪われた物の価値

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 翌日、目が覚めると看護の人だろうか、医者と同じ、背中に模様のはいった薄いグレー色のナース服を着た女の人が朝食を持ってきてくれた。 「おはようございます。お加減はいかがですか?」 「おはようございます。問題ないようです。」 「そうですか。じゃあ、これ。朝食です。ゆっくり食べてくださいね」 「はい、いただきます」  少し硬いパンと何かのスープのようだ。仕方ないがあまりおいし物ではない。食べ終わり食器はどこに持って行くのだろうと部屋から顔をだすと、でかい叫び声が聞こえてきた。 「知らねーって言ってんだろーが!!」  気になり様子を伺うと、ドアの隙間から見えたのは昨日の医者と中世の鎧のような物を身にまとった厳つい男だった。 「しかし、本人が金を持っていたと言ってるんだぞ?服まで盗まれて。おかしいとは思わないのか?」 「その本人が嘘ついてんじゃねーのか!? 俺たちが見たときには裸だった!」 「じゃあ、お前の腕についてる魔道具はなんだ? あいつの腕に何かを付けていたあとがあったぞ」  それを聞いて男の腕を見ると、腕時計が巻かれている。もちろん信吾の物だ。 (魔道具? 変な言い方をするな?) 「こっ、これは。この前あった討伐の報酬で新しく買ったもんだ!」 男がおろおろしながらも言い訳を言う。 「ほぉ? この前の討伐とはウッドベアのことか? 部隊で討伐したんだったな。一人の報酬はそこまで出ないはずだが? その魔道具は簡単に見積もっても300万はするぞ?」 「うぇっ!? そんなに!?」 (300万!? あれは安物の腕時計だぞ? 単位はなんだ?円じゃないよな?)  信吾は自分の持っていた安物の腕時計にとんでもない金額を付けられ驚いていると。 「ほら見ろ。自分で買ったんじゃないって証明されたじゃないか」  どうやら医者の誘導尋問だったようだ。 「しまっ! ……わかったよ! 返せばいいんだろ! 他のもんは知らねーぞ!」 「ほぉ。他にもあるのか」 「っ! 行くぞっ!!」  そう言って数人の男を引き連れ信吾のいる方へへ向かってきた。信吾は慌てて身を隠し、ふたたびその男達を視界に納める。外に出た男達は小さな声で話をしていた。
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