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信吾は病院を出てゆっくり周りを確かめるように街を進む。
ずいぶんと田舎のようだ。古い建物があちこちに建っている。しかし、すれ違う人たちは髪を染めていたり、変わったアクセサリーを付けていたりと若い者が多い。
(あのコスプレは流行っているのか?)
すれ違う人の半分以上が動物の耳や尻尾を付けている。そのままお店を探していると何かの看板が見えてきた。
(とりあえず入ってみよう)
中に入ると酒場のようだが、受付のようなものがある。
(何の店だ?)
カウンターの向こうに座っている女性に話しかけてみた。
「すいません、これを売れる店を探しているんですが」
「魔道具ですね。こちらでも買取できますが?」
酒場のように見えるが、ここでも買取をしてくれるそうだ。
「じゃあ、お願いします!」
「はい、お客様。ギルド登録がお済でしたらギルドカードを提示してください」
「ぎるど?いえ、登録してないんですが」
どうやらここはギルド、つまりは仕事斡旋所のようだ。
「では、本日登録されますか?ギルド会員ですと買い取り額が5%アップしますよ」
(もし、高額で買い取ってもらえるなら5%は大きいな。入っておいた方がいいだろう)
「じゃあ、お願いします」
「かしこまりました。それではこちらの用紙に手を触れてください」
そう言って見せてきたのはごわごわとした紙だった。羊皮紙というやつだろう。
「はぁ」
言われたとおり用紙に手を触れる。すると、見たことのない文字が浮かび上がってきた。見たことのない文字なのだが、何故か意味が理解できた。
「これは!?」
その変化につい驚き、声を上げてしまった。
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