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むせ返る血液の匂い。瞬きしても目の裏で点滅する、赤。
(慣れなきゃだけど、これは流石に・・・)
壁に、地面に、ぶちまけられた血のシャワー。
「高木ぃ!足!足ぃ!」
課長からたしなめられる。
「あ!すみませ~ん!」
靴のカバーを忘れていたのだ。鑑識員がきびきびと動き回る。
邪魔にならないように、梨央は被害者の正面に回り込む。
吐き気を感じ、ポケットからハンカチを出そうとして、やめた。
(いけない、又、からかわれるわ・・・)
思い直し、傷口をのぞく。噴出した血に押し広げられた切創痕。
悲しいほど白く濡れている。
(首か・・・一撃かな・・・)
「本社、碓氷班だそうだ。気、抜くな」
遠藤主任が梨央に気合を送る。
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