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「冗談抜きで、一人で平気だったか?」
椅子に逆向きで座り、椅子の背の上で組んだ腕に顎を乗せた相川が心配そうに聞いてくる。
俺と違い、どんぐり眼で鼻が高くてアヒル口で、女子から「可愛い~」とか言われちゃっている美男子の相川。
女好きで、すぐに彼女が変わる見た目通りのチャラ男だけど、凄く友達思いで優しかったりする。
「まぁ、なんとか」
昼飯は屋上に逃げちゃったけどな。
そういえば、相川のいない間ずっと屋上で昼飯を食っていたけど、初日以外あの王子様みたいな人には会わなかったな。
あれは、白昼夢だったのか?
「なぁ、この学校に金髪の人っているか?」
「金髪? あぁ、孤高のプリンスのことか?」
三年に兄貴がいる相川に尋ねてみると、少し考えたあと、思い出したように言う。
「なに、その孤高のプリンスって?」
「二年に超美形のハーフがいるんだって。スタイル抜群、頭脳明晰、運動神経も抜群、絵も上手くて、ピアノはプロ級らしい。人を寄せ付けないオーラがあって、いつも一人で本を読んでっから、孤高のプリンスって呼ばれてるんだってさ」
「す、凄い人だな……」
そんな人が実在するんだ。
あの王子様みたいな人を思い返すと、確かにミステリアスな感じがしたな。
「俺もまだ見たことないからどんな顔か知らねぇんだけど、確か名前が……」
「ホームルームを始めるぞ」
相川の話の途中で教室に担任が入ってきて、ホームルームが始まった。
その日は、相川のお陰でクラスメイトとも少しだけ打ち解けることが出来て、楽しい高校生活が送れるかもって胸が弾んだ。
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