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この街にある銀行から回収した資金を隣街まで運ぶというシンプルな仕事だった。
だが、「絶対問題ない」とヘスティアさんが言ったにも関わらず見事に強盗に襲われた。
撃退し、無事に隣街まで運べたので依頼は成功したのだが…ふと思い付いた事をヘスティアさんに問いかける。
「ヘスティアさん。この仕事で強盗に襲われて私達二人共怪我したから労災申請したいんだけど」
「病院からの診断書があるならともかくその場で回復魔法で治療して治った怪我や病気には労災申請下りません」
ヘスティアさんの笑顔は有無を言わさない事務職のプロが浮かべられる拒否の笑顔。
…ち、バレたか。
「けどそんな貴女に朗報。前回の仕事で貴女と相方のブルーノさんのクラスが上がり、それぞれBクラスとなりました」
液晶画面が操作により切り替わり、全国のハンター達のランキングが表される。
見てみれば、Bクラスの下の方に私とブルーノの名前があった。
ブルーノよりランキングが少しだけ上なのが嬉しい。
成る程。名前呼ばれた時に感じた視線とざわめきはこのためか。
ハンターギルド独特のシステムがこのランキングシステムだ。
AからEまでのクラスの中にそれぞれランキングを設け、仕事をこなしていくうちにギルドがランキングを更新していき、上位へと上がれば上がるほど高い報酬の仕事を受けることができる。
ただし、ほとんどの場合、報酬と比例して危険度が高くなっていく。
ランクが低い者はもちろんその様な危険度が高い仕事は受けれず、ハンターの生存率上昇や危険回避を行っているのだ。
だから、クラスが高くランキングも上位のハンターは一流として認められているのも同然なのだ。
まあ、ギルドを通さず危険な仕事を受けて死亡するハンターがいるのも現実だが。
「Bクラスって言ってもこのランキングじゃ中の上じゃないの」
液晶に触り、上へ動かせば名前しか知らない有名ハンター達の名前がずらりと並ぶ。
長い寿命かけたってこの上まで上がるつもりは無い。
「話は最後まで聞きなさい。このクラスになったから、貴女に受けて貰いたい仕事があるの」
「仕事?」
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