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「受けたらいいじゃねぇか。それ」
…早っ。
宿屋の1階にある食堂でブルーノにとっては遅い朝食、私にとっては早い昼食を兼ねて、先程聞いた仕事の内容を受けるかどうかを相談したが、ブルーノの答えは即決だった。
あくびを噛み殺しているので、ちゃんと聞いていたのか怪しいものだ。
因みにブルーノは狼の姿ではなくちゃんと化けている。黒髪に黒目な若い人間。しかし他の人間の女性(酒場関係等)によれば「何だか犬っぽい顔だね」とか言われているのを聞いたことがある。
私にはよく分からないが人間にはそう見えるらしい。
食堂は昼が近くなってきたせいか、人間達が増えてきた。もうしばらくしたら満席になるだろう。
「ちゃんと聞いてたか?」
「聞いてたっつーの。警察のお手伝いで荒事ありで依頼受けてくれたら金貨15枚。だろ」
要点は当たっているのでとりあえず信用する。私は端末を取りだしこの依頼の紹介状を開く。
「じゃあ依頼受けるよ。いいね?」
「早くすれば?」
素っ気ない返事。仕事の話より注文した日替わりランチAセットが早く来ないか気になって仕方無いのだろう。
「…受けるからね」
端末を操作し、依頼を受ける事を電子文章にて伝える。これで依頼の詳細な内容が支局から送られてくるはずだ。
「お待たせしましたー。セットのスープとサラダになりますー」
店員が、ブルーノと私も注文した日替わりセットの付け合わせのスープとサラダを先に運んでくる。
ブルーノはそれらをちらりと見て、無言で私の方にスープとサラダを寄せてくる。
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