エルフと人狼の子守唄

仕事の時間

現在時刻。21時25分
現在地。テディズ街第３埠頭近くのコンテナ群。

前には私と同じようにコンテナの影に身を隠し、完全武装した沿岸警備部の皆様がいた。
一番前で、責任者のヤン警部補とブルーノが最終打ち合わせをしている。
視線だけ埠頭へ向けると目的の船が300メートル程の距離に停泊していた。
よく見えないが暗闇の中、甲板に数人の人影が動いているのがわかる。

湾岸警備部の本部で行われた作戦会議に私達も参加したので作戦は聞いていた。
先に甲板の見張りを無効化し、船内へ突入した後で密輸武器の摘発となる。

作戦は簡単に言えばこんな感じだった。
しかし、私達が参加したことで若干作戦は変更されている。

見張りを無効化する役目を、ブルーノがする事になったのだ。
人狼の夜でも昼間並みに見える視力と高い身体能力を責任者のヤンが買ったからだ。
部隊の中からは反対意見も上がったが、私達のハンターの経歴と、ブルーノが実際に出来る事を見せると隊員達は渋々納得せざるえなかった。