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暗闇に黒い体毛を持つブルーノは完全に夜の闇に溶け込んでいた。着地したのは何とか見えたが、闇に慣れた目にも細かい動きはよく見えない。
対してブルーノは全て見えており、しかも身体能力だけなら人間等では比べ物にならない。
…微かな物音が聞こえた気がしたが波音が消してくれた。
やがて船から、微かな光が2回短く光る。
ブルーノが甲板を制圧した合図だ。
ヤンが無言で手を動かし、それにあわせて部隊が船へ移動を開始する。
私も被っていたフードを上げ、部隊に続く。
ブルーノが船から梯子を降ろし、全員がスムーズに甲板へ乗り移る事が出来た。
…甲板の上に転がっていたのは全部で5人。銃等も持っている奴もいたが、抜く間もなく倒されている。
ヤンからの指示で出来るだけ殺さない様にとも言われていたので全員に息はあった。
部隊の皆様が、倒れた人間達をしばり上げていくのを見ていたら何時の間にかブルーノが横に立っていた。
「流石」
「余裕だね」
小声で交わし合うと、前方へ来るよう無線機から指示がある。
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