仕事の時間

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私はポケットに手を入れ、中に忍ばせておいた物を握ると物陰から出る。 そろそろと跳ね上げ扉へ移動。運良く扉は透明ではなかった。 誰かいるから鍵はかかっていないだろうと思っていたが、やはりかかっていなかった。 かかっていたらいたでどうにでもなったが。 1センチも満たない程、扉を開けると手に握っていた中身を確認する。 昼間買っておいたゴマ粒みたいな豆の種だ。これが私の商売道具。 「シード・ブレイク」 ロングメイスの先端に仕込まれた魔法石が私の魔力に反応。魔法石を媒介に私の魔力が種に注ぎ込まれていく。 種を中に入れて扉を閉める。波の動きで揺れる船の中で種は転がり。 魔力により一気に発芽、成長、巨大化し、蔓を中の人間達に絡めて締め上げる。 「うわあっ!何だ!?」 「化け物!?」 「ぎゃあああ!」 中から聞こえる悲鳴。正直笑いたくなるが雰囲気があるから我慢する。 そっと扉を開けて覗けば、入り口の下は階段になっており、そこから床に転がる蔦まみれの男達が数人見えた。 隠れている隊員達に合図。ヤンが頷く。 「突入!」
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