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部屋の隅。そこに人間が蹲っていた。
この場にそぐわない小さな少女だ。
人間の年齢で6歳程だろうか?緑色の髪と瞳がこちらを見上げている。
しかしその両手足には枷がはめられ、鎖で繋がれ自由を奪われていた。
しかも全身に殴られたような後があった。
「酷い…!」
人間は何故こんなに小さな子供に枷をはめ、鎖で繋ぐなど酷い事が出来るのだろう。しかもこの怪我。誰がやったかなど簡単に想像できる。
少女が驚いた様に私達を見ている。
ブルーノが鎖を引き千切るため手を伸ばすと、少女の体がびくり、と震えた。
無理もない。ブルーノは見た目が凶悪すぎる。
「大丈夫だから、ね?」
出来るだけ笑顔で優しく話しかけると、少女はこちらをじっと見つめる。
その隙にブルーノが手足の鎖をバキンと音を立てて引き千切った。
「立てれる?」
手を伸ばすと、少女はゆっくりと手をさしだして、冷たい手を握り返してくれた。
そのまま抱き上げる。少女は私のされるままになっていた。
「ヤンに保護してもらうか」
「そうね…行きましょ」
少女を抱えたまま、私達は元の道を走り出した。
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