少女

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ホムンクルス…それは人間が自分達の血肉の欠片から人工的に造り出した生命体。 成長は人間より早く、人間が設定した通りに動く事しか出来ないという「生きた人形」。 見た目は人間そのもの。思考を持つというが、それすら人間が造り出したもので彼らに「意思」という概念はないとされている。 人間の店では簡単な仕事を行わせたりしているというが…奴隷の様だと、正直思った。 「ホムンクルスか…なら人間の臭いがする訳だ。元は人間なんだしな」 ブルーノが少女の近くに行きわざと匂いをかくような動きをする。 「私も気付かず人間と思ってしまった」 「たまにあります。ホムンクルスが人間と間違われ運ばれる事が」 ヤンの言葉にフラムは答える。私は質問を続ける。 「じゃあ何?この子も密輸されてきた『物』だっていうの?」 「その可能性は高い」 思わず奥歯を噛みしめた。命を売り買いする行為が、嫌だった。 「検査した所、名前は不明。この子の知能は6歳の子供程度。簡単な仕事が出来るようには設定されているようでしたが詳しくは不明です。恐らくその…愛玩玩具用のホムンクルスかと」 思わず男性陣を見た。 「そんな趣味ねぇよ!」 叫ぶブルーノと真剣な表情で頷くヤン。いや別に興味は無いが何故二人はむきになっているのだろう。
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